vol.58 2022/03/18
小さな春の声

旅する鈴木 vol.58 小さな春の声

山に一番華やかな季節がやってきた。
千葉県いすみ市は菜の花が有名で、
春になると街中が菜の花の黄色い絨毯でいっぱいになる。
そこを、車両一両だけの黄色いいすみ電車がゆっくり、
コトンコトンと走り抜ける姿はとてもキュート。
街の見所の一つになっており、
今日もあちらこちらで望遠レンズを肩にかけた人たちを見かける。
私とダンナはこの黄色い電車を見た日は
ラッキーデイと勝手に決めている。


今まで春というとこの写真のように
菜の花や桜が咲く時と思っていたのだが、
寒い時期から自然は刻々と変化し、
3月辺りで一気に変化することに気づいた。


毎年2月4日頃の立春。
暦上では春の始まりと言われているがまだまだ一年の中で最も寒い時期。
穴掘りの作業をしているダンナがポツリ
「ねえねえ、昨日より、どことなく昼間の太陽の光が暖かくなった」
と言い出す。
「まさか~」と笑いながら陽の光が当たる場所に行くと、
確かに、じんわり、どことなく暖かい。
風が吹いたり曇ると寒いが、太陽が照ると確かに暖かい。
すると、目の前をミツバチが一匹ブゥンと飛んだ。
ミツバチは冬の寒い間は巣に篭って越冬をし、
たまに気温が上がった時に
外に出て排便や花粉集めをすると言われているらしいので、
やはりこの日は暖かいんだと確信する。
ダンナさすが。


余談だが、彼が旅をして得た特技の一つで、
太陽の沈む時間を正確にわかるようになったということがある。
世界中で夕日や朝日のタイムラプス撮影(長時間撮影)をしたことで
自然に身についたらしい。
一見地味だが撮影時はかなり重宝する。
同じように、外で作業をすることで
太陽のちょっとした気温の変化に敏感になっているんだろう。
下の写真はイランのシーラーズにあるピンクレイクで夕日の撮影。

さて話は戻って、
立春を境に日を追うごとに発見するものが増えていった。
朝霜が少なくなってきて、フキノトウの芽がニョキッと出てきた。
朝の鳥たちの声が冬よりも甲高く早口でしゃべっている。
ウグイスが鳴き始めた頃、冬鳥のジョウビタキの姿が見えなくなった。
梅が咲き、蛾や虫が飛び始め、カエルの声が森に響き始めた頃、
桜の蕾がふっくら色づいてきて、菜の花が満開になる。
いつの間にか
昼間の作業がダウンからTシャツ一枚でも汗をかくようになってきて、
春も本番になったんだなと気づく。

冬でもこんなに生き物は動いていたんだねと二人で驚く。
昔の人は寒い冬でも少しづつ春を感じられると知っていた。
立春とはよく言ったものだなあと今更ながら感心してしまう。
山で暮らすことで今まで知っているようで知らなかったことを
体験することができるのが面白い。
旅でも同じで、
知識だけより体験することで初めてわかる面白さがあった。
まだまだこれからも新しいことに挑戦して、
新しい気づきを沢山体験していきたいものだ。


いすみ市は春の旅にいい。
動けるようになったらおいでませ。


二人のリング


旅する鈴木

BS朝日「旅する鈴木-夫婦で世界一周」
番組詳細はこちら
https://www.bs-asahi.co.jp/traveling_suzuki/

 


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