こんにちは。旅する鈴木ヨメの聡子です。
朝寒さで目覚めて2度寝するのが至福な時間になってきたこの頃。
スーパーに行くと秋らしく大きなカボチャが売られていたので、
ちょっと早いですがこんなの作ってみました。
ジャック・オー・ランタン。
お化けなのにどこか抜けている可愛さ。
お化けをイメージして思い出すのが、
メキシコを旅中出会った「死者の祭り」です。
それは私たちの考え方を変える衝撃的なお祭りでした。
毎年11月1・2日に開催されるメキシコの「死者の祭り」
日本のお盆と同じで故人の魂が帰ってくると言われ、
各家庭に祭壇が設けられたり、先祖の墓を飾りつけたりします。
特に祭りを盛大に祝うと言われる「オアハカ」という街を訪れました。
まず目に飛び込むのは、祭りのモチーフとなるカラフルなガイコツたち。
日本では恐ろしい存在の骸骨も、メキシコにくるとえらく可愛い。
そう、メキシコではガイコツはみんな大好きな「愛されキャラクター」。
あっという間にガイコツの虜になった私達。
「ねえ、このガイコツ一緒に踊れるよ!」
「こっちなんてギター弾いてる!」
と二人してキャッキャ町中のガイコツを見て回りました。
そしてもう一つ、街中オレンジのマリーゴールドの花で溢れています。
マリーゴールドは死者を導く役割があり、
祭壇やお墓の前に強い香りと色を持つ花びらを並べると
故人の魂が迷うことなく戻ってくるとされているようです。
夜になると町中お化けに仮装した人でごったがえします。
老いも若きもみんなガイコツの仮装。
そして皆が向かう先はお墓。
一言でまとめるなら、カオス。
マリーゴールドで綺麗に飾られたお墓。
ロウソクを持ってお祈りしている人々。
その横で白いウェディングドレスを着たガイコツメイクの女の人が
墓地に座っていて、その隣の墓では骸骨の格好したおじちゃんたちが
「サルー!(乾杯)」と叫んでテキーラをガバガバ飲んでいる。
バックミュージックは鼓笛隊バンドの人達が
大音量でガンガン音楽を奏でていて、その周りを皆で踊る。
ついでに電飾ピカピカの観覧車やメリーゴーランドもトッピング。
お墓はこんな感じ。派手で賑やかでなんていうかスゴイ。
日本ではよそ様のお墓を覗くことなんてないですが、
ここでは「目立ってなんぼ」
人に見てもらえるよう様々な工夫をされていて
見ているだけで楽しくなってきます。
お墓のイメージが一気に変わりました。
ボーゼンとしている私たちを見て、
陽気な骸骨メイクをしたおじさんが「ほら、こっちこっち!飲みなよ!」
と手招きしてテキーラを渡してくれます。
せっかくなので私達も大声で「サルー!」といい飲む。
そんな声もかき消されるほど周りは賑やか。
「日本では、死者を祈るのに静かにお参りするだけなんだよ」
と骸骨おじさんに言うと、
「うん、そういうのもいいんじゃないか。
俺たちの国はそういう時思いっきり楽しくお参りするのさ。
お墓の人も楽しい方が帰って来た甲斐があるだろう。サルー!」
とガブガブ飲む。
一年に一度の「死を思う時間」を心からみんな楽しんで過ごし、
笑い、飲み、歌い、踊り、死者の為に祈っている。
あの世もこの世も楽しいって、なんてステキな日なんだろう。
私も死んだらこんな風に皆に楽しんでお墓参りしてもらいたいなー
なんてことをテキーラの効いた頭でぼーっと考えながら、
お祭りの夜は更けて行くのでした。
BS朝日「旅する鈴木-夫婦で世界一周」
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