vol.22 2019/2/20
ものづくり~皮とミントと購買欲~

今回は、モロッコにある皮なめし工場に行った時の話。

モロッコの特産品の一つである革製品。
動物の「皮」から「革」へ変える皮なめし工場が北のフェズ、南のマラケシュにあります。
モロッコ中の動物の皮はこの二つの街に集まる。
私たちはマラケシュのメディーナ(旧市街)の中の工場へ行ってきた。
まず、剥いだ皮は大きな丸い容器の中に浸けられ、においを消し柔らかくする。
その後天日干しして、皮をなめして出来上がる。
この溶液は何かと聞いたら鳩のフンだそうで、ものすごく臭い。
さらに、浸ける前の牛や羊、ヤギにラクダの皮からもものすごい臭いがする。
マスク代わりにと渡されたミントの葉を鼻にくっつけニオイにクラクラしながら工場を一回りする。
水を吸った皮は重いし、なめす時は力がいるしで大の男の人でもふうふう言っている。
それでも職人さんたちは「サラマレコン(こんにちは)」と陽気にあいさつしてくれる。
ガイドさん曰く、この場所は千年間同じ製法で作り続けている由緒あるファクトリーで、
6つの家族が代々受け継いできているとのこと。

そんな話を「へーっ」と感心しながらついていくと、
最後はここで生み出されたという手作りの革カバンがずらりと並ぶお店に当然のように連れて行かれる。
最後に買い物をさせようと自分の店に連れて行くやり方は百も承知。
さぁ、帰ろうか。という合図を二人で送っていたのですが、
歴史を知り、物を作る工程を見てとても特別なモノたちだと感じているのでやはり見逃すことはできない。
街でもっと安いことも、もしかして半額以下かもしれないと思いながらも、
あれだけの工程を人の手で丁寧に繰り返されるという思いが頭をめぐり、ついつい買ってしまうのは人の性。
かわいいのあったし、おじさんと仲良くなれたし気にしないことにしようと話し合い
記念バックをしっかり胸に抱いて帰るのでした。

かつてバブージュ工場でAuroraGranオリジナルのキーケースを作っていただきました。
耐久性高いラクダの皮を使い、裏面にはロゴが入ってます。
2015年に読者の皆様へのプレゼントとさせて頂いたものです。

それでは、次回の旅記事もお楽しみに。

旅する鈴木

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