この連載も残すところあと2回。
今回は私達とリングの出会いからの話。
元々私達は結婚指輪を持っていなかった。
結婚をしてすぐに旅の資金を貯めていたので、
旅が終わって落ち着いたら買うねと話していた。
旅をして約3年目、オーロラグランさんから
ブライダルリングと一緒に旅をする連載を書いて欲しいと話があり、
その時はこの為に指輪を持っていなかったのかもしれないと
運命を感じたものだ。
そして2014年12月1日に旅するリングの連載が始まる。
リングと共に旅した最初の国はエジプト。
アフリカの大地は砂埃が多い。
せっかく新品の指輪なので汚れるのがイヤで、
毎日せっせと磨いてはキズがつかないようにしていた。
それでも砂漠を歩いたり、山に登ったり
とにかく激しく手を使うので、どうしてもキズが増えてくる。
どうすればキズをつけずにいられるのかとイライラして
とダンナに言うと、
「キズも旅した証だからいいじゃない」と言われた。
なるほど。
旅するごとにキズが増えていくのではなく、
私達が旅で経験したことが記録のように指輪に刻まれていくのか。
その言葉はストンと私の中に落ちた。
そこからはキズが増えることを全く気にならなくなり、
むしろキズが増える度に愛おしさが増してきた。
アフリカ大陸、ヨーロッパ、中東、アジア、オセアニア。
エベレストまで登って
ピラミッド見て
南国の海に潜って
千葉の山で開墾して。
共に地球をグルグルまわってキズも思い出もグルグル増えている。
今では私達夫婦と一緒に旅をしてきた証がタップリ刻まれ、
光に当てるといぶし銀のように渋く光り輝き、
なんとも愛おしい指輪になった。
ずっと身につけているモノに
夫婦の歩んだ軌跡が残るのは心にきゅんとくる。
何十年か後、
もっとキズだらけになったリングを
またどこかでお見せしたい。
きっと今より年季が入りステキな輝きが出ていることだろう。
そんな将来の楽しみを胸に
これからもリングと共に旅をする。
次回最後の連載になります。
BS朝日「旅する鈴木-夫婦で世界一周」
番組詳細はこちら
https://www.bs-asahi.co.jp/traveling_suzuki/