vol.12 2017/1/15
エベレスト街道トレッキング その2

エベレスト街道トレッキング、ネパール、ルクラの町を出発して6日目。

ディンボチェ(標高4350m)。山に挟まれた小さな村。
この辺りまで来ると気温も-18℃とグッと低くなります。
宿の部屋ではペットボトルの水がこおり、暖炉の前でも吐く息が白い。
外は森林限界で木がなくなり、岩と砂の荒野。
太陽が出ていても肌が痛冷たいのでマフラーを顔にぐるぐるまく。今までとは世界がかわった。
ここより上には店などがなくなり、トレッキング用の宿だけになる。
いよいよ人が生活できないゾーンに突入です。

酸素が薄いので呼吸もきつくなり、少しでも歩くとゼーハー。
靴紐結ぶのもゼーハー。トイレで用足すのもゼーハー。
この辺りからひどい高山病が出てくることが多いらしく、
実際今から山を降りるという人や、ヘリコプターで搬送される人もみました。

幸いワタシとダンナはたまに少し頭が痛くなることがあるくらいで、
高山病の薬飲んだりお湯を大量に飲むことで治っていました。
カルマは私たちの体調を考えてゆっくりペースで歩いたり、
休憩をベストタイミングで入れてくれたり無理なく進めていたのもよかった気がします。

人も住めない厳しい場所ですが、
それに比例するかのように今まで見えなかった最高の景色が見えてきたのもこのへんから。
360度ぐるりと雪山に囲まれた谷と丘。

ヒカリの雲につつまれた山々

芸術的な形で凍った滝や川、ダイヤモンドダストで山も村もキラキラになったり。
さらに霧に包まれたと思ったら髪の毛が凍って真っ白になったり、
雪の結晶がパラパラ音を立てて降り積もったり。
この冬に、ここに来て見える奇跡の風景が楽しくて仕方がない。冬にきてほんとによかった。

そして10日目。ついに、ついに、エベレストベースキャンプ(標高5,364m)に到着しました!
ここが数々の登山家たちを魅了した登山のスタート地点。ついにきました!

ビュービュー吹き続ける冷え切った強風。目の前一面に広がる氷河。
その奥にどこまでも続く雪山。凄まじい迫力にただただ圧倒されました。

つくづく感じたことは、私はベースキャンプからの光景だけで十分お腹いいっぱいなのに、
ここから氷河通って、雪山に登って、垂直の崖に登ってこの山に挑戦する人がこの世にいることの不思議さ。。。
ほんとにすごいことだと思う。そんな人実際にいるんだよね。。
と思っていたら「いつかエベレスト登ってみたいなあ。」とダンナがつぶやいて驚く。
本当にいた。しかもこんな隣に。

氷河から帰ってきて宿でグッタリしていた夜、急にダンナが来て
「外すごい!寒いからこそ誰もいなくて今はあのエベレストを独り占めすることができてすっごい贅沢だよ!」
と嬉しそうに連れ出された。

寒がりの私はイヤイヤながら私も外に出てみると、、、ほんと、きれいだった。

ゴゥゴゥ鳴り続ける風の中、まっくらな空に不思議な雲をまとって輝くエベレスト。
体感温度-30℃(勝手な推測)の冬山の空気はキーンと冷えて、地球の大自然のそのまた上にある宇宙を感じさせてくれた。
確かにこんな景色を二人じめできるのはなんて贅沢だろう。。。

けど寒いことは寒い。数分後、わたしは寒くてギブアップ。
ダンナはそのままウキウキ夜の山を撮影しに消えて行きました。
高山病にもならないし、タバコも吸えるし、山に来てダンナが意外に体力があることを知り驚いてます。

次の日の朝。これが最後の登りトレッキング。
エベレストが一番大きく見えるカラパタール(標高5,545m)を目指します。

朝起きたら袋と同じように私だけ顔も体もパンパンに膨れ上がっていた。
ついに私も高山病がきてしまった。そのせいか息がすぐ上がる。赤ちゃんの伝え歩きくらいゆっくりなのに息が上がる。
歩いてる最中ずっとつらい。もうつらい。いやつらい。もう諦めようかなとなんども思うけどもうここまできたら意地でものぼる。

そして2時間後、、、、ついに頂上!

心の底からのガッツポーズが自然に出ました。

ついについに登りました!エベレストが一番大きく近くに見えます。
どこまででも広がる山脈と氷河。世界最大の山を見ている現実。やりきったと思ったらスーッと肩の荷が下りて瞬間泣けてきた。
この頂上から見る景色は一生わすれられません。

宿に戻ったら下山する前のお約束。宿の壁に登頂記念ラクガキ。
いつか誰かに見つけていただきたいです。

初めは不安しかなかったエベレスト街道トレッキング。
寒いしと辛いしと渋ったけれど、いつの間にか山の生活に惹かれてのめりこんでいきました。
初めての雪山、初めての景色、ヤクやシェルパの人々。
自分の体調をキチンと管理して高山病にさえ注意すれば、
初心者でも3歳児でも70歳でも登ることは可能な山でした。
冬はびっくりするくらい寒いですが、びっくりするくらいキレイな景色。
景色を楽しむなら冬山オススメです。

帰りの飛行機ではさらに本気泣きをすることになるのですが、そんなことはまだ知らないいい笑顔。
苦手なことも好きになれた2017年。いいスタートになりそうです。

次回はどこに行くのかお楽しみに。

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